1.会社の適用要件

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事業承継税制を受けるための要件というのは、どのようなものがあるのですか?
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認定要件は、1.会社の要件、2.先代経営者の要件、3.後継者の要件などがあり、すべての要件を満たしている必要があります。まず、会社自体の主な要件についてご説明します。
一つ目が「(1)中小企業者であること」です。中小企業者の要件(図表6)は、業種目ごとに資本金と従業員基準が定められています。それ以外にも、「(2)上場会社、風俗営業会社でないこと」「(3)従業員が1人以上であること」「(4)資産管理会社 でないこと」があります。いずれも相続税・贈与税共通の要件です。
中小企業者の要件(図表6)
業種目 資本金 従業員数
製造業その他 3億円以下 300人以下
製造業のうちゴム製品製造業
(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)
3億円以下 900人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
サービス業のうちソフトウェア業又は情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
サービス業のうち旅館業 5,000万円以下 200人以下

2.先代経営者の適用要件

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次に、先代経営者の主な適用要件(図表7)、つまり社長ご自身の要件です。
先代経営者の主な適用要件(図表7)
(1) 会社の代表者であったこと【相続税・贈与税共通】
(2) 相続開始の直前又は贈与の直前において、現経営者とその親族などで総議決権数の過半数を保有しており、かつ、後継者を除いたこれらの者の中で筆頭株主であったこと【相続税・贈与税共通】
(3) 贈与時に代表者を退任していること【贈与税】
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「(3)贈与時に代表者を退任していること」とありますが、役員として残ることもできないのですか?
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いいえ、贈与と同時に代表権を返上しなければなりませんが、有給の役員として残ることはできますよ。
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ということは、後継者が育つまで近くで支援することができるわけですね。
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そういうことですね。

3.後継者の適用要件

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最後に、後継者の主な要件(図表8)です。
後継者の主な要件(図表8)
(1) 相続開始時又は贈与時において、後継者とその親族などで総議決権数の過半数を保有し、かつ後継者が1人の場合は、これらの者の中で筆頭株主であること【相続税・贈与税共通】
(2) 相続開始の直前において役員であり、相続開始の日の翌日から5ヶ月を経過する日において代表者であること【相続税】
(3) 贈与時に18歳以上(※)、贈与の直前において3年以上役員であり、かつ、代表者であること【贈与税】

※ 令和4年3月31日までの贈与は20歳以上

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ここがポイント 贈与税の納税猶予制度を受けるには、(3)3年以上役員であることという要件があるので注意して下さい。