令和6年度税制改正において、事業承継税制における特例承継計画の提出期限が2年延長（令和8年3月31日まで）されました。

Ⅴ 事業承継税制適用のための手続き

1.贈与税の納税猶予制度の手続き

納税猶予制度を受けるための手続きはどうなっていますか？

納税猶予を受けるためには、「都道府県知事の認定」「税務署への申告」の手続きが必要となります。それぞれ提出の期日が定められていますので注意が必要です。まず、贈与税の納税猶予制度を受けるための手続等特例措置（図表9）からご説明します。

贈与税の納税猶予を受けるための手続等特例措置（図表9）

都道府県庁		特例承継計画の作成確認申請	会社が作成し、認定経営⾰新等⽀援機関が所⾒を記載。令和8年(2026年)3⽉31⽇まで提出可能です。 ※ 令和8年(2026年)3⽉31⽇までに贈与を⾏う場合、贈与後、認定申請時までに特例承継計画を作成・提出することも可能です。

		贈　与

		認定申請	贈与年の10月15日～翌年1月15日までに申請。特例承継計画を添付。

税務署		税務署へ申告	認定書の写しとともに、贈与税の申告書等を提出。相続時精算課税制度の適⽤を受ける場合には、その旨を明記。

税務署	都道府県庁	申告期限後 5年間	都道府県庁へ「年次報告書」を提出（年１回）。税務署へ「継続届出書」を提出（年１回）。

		5年経過後実績報告	雇用が５年平均８割を下回った場合には、満たせなかった理由を記載し、認定経営⾰新等⽀援機関が確認。その理由が、経営状況の悪化である場合等には認定経営革新等支援機関から指導・助言を受ける。

		6年目以降	税務署へ「継続届出書」を提出（３年に１回）。

期間が長いから手続きを忘れそうですね。

その辺りについては、十分注意が必要ですね。

2.相続税の納税猶予制度の手続き

次に、相続税の納税猶予制度を受けるための手続等特例措置（図表10）をご説明します。基本的に贈与税の時と同じような手続きとなります。

相続税の納税猶予を受けるための手続等特例措置（図表10）

都道府県庁		特例承継計画の作成確認申請	会社が作成し、認定経営⾰新等⽀援機関が所⾒を記載。令和8年(2026年)3⽉31⽇まで提出可能です。 ※ 令和8年(2026年)3⽉31⽇までに相続が発生した場合、相続後、認定申請時までに特例承継計画を作成・提出することも可能です。

		相続又は遺贈

		認定申請	相続開始の日の翌日から8カ月以内に申請（相続の開始の日から5カ月を経過する日以後の期間に限ります。）。特例承継計画を添付。

税務署		税務署へ申告	認定書の写しとともに、相続税の申告書等を提出。

税務署	都道府県庁	申告期限後 5年間	都道府県庁へ「年次報告書」を提出（年１回）。税務署へ「継続届出書」を提出（年１回）。

		5年経過後実績報告	雇用が５年平均８割を下回った場合には、満たせなかった理由を記載し、認定経営⾰新等⽀援機関が確認。その理由が、経営状況の悪化である場合等には認定経営革新等支援機関から指導・助言を受ける。

		6年目以降	税務署へ「継続届出書」を提出（３年に１回）。

事業承継税制は、有効な制度ですが、複雑な制度でもあります。どのような形で事業承継を行うのが最も相応しいか、専門家の方々とよく話し合って結論を出すことが重要です。また、特例措置の事業承継税制の適用を受けるためには、令和8年（2026年）3月31日までに「特例承継計画」の作成・提出が必要です。お早めに専門家の方々にご相談されることをお勧めします。
なお、事業承継税制の特例措置の適用要件等の詳細につきましては、「国税庁HP 」、「中小企業庁HP 」をご参照ください。